国際協力の世界で働きたい君へ(青年海外協力隊・任期中編)
前回の続きである。
私が行っていたのは2009年~2011年で、もう10年近く前の事なので変わっているところも沢山ある。
細かい制度などはよく変化があるので、興味がある人はきちんと調べてから応募してほしい。
分からない部分は国際協力推進員が各都道府県にいるのでその人に聞いてみるといい。
さて、青年海外協力隊は短期でない場合2年間の任期である。
派遣された日からその前日まで隊としてボランティアを行う。
ボランティアは学校や職業訓練校などの教育施設から、NGO、保健所、役場と多岐にわたる。
派遣される国も様々で、国が抱える問題も様々なので仕事内容もバラバラだ。
医療レベルも都会に行けば日本に近い処置が得られる国もあれば、他国に行かなければ処置できないレベルの国もある。
紛争が集結し、やっと協力隊が派遣できるようになったという地域もある。
だから、人口の多い国の医療制度であれば
「すべての子ども達が予防接種を受けられているか」を指導したり改善するのがニーズになるし、
人口がとても少ない国であれば
「保健省にも人がいないので、いろんな保健の調査を実施してほしい」というのがニーズになったりする。
なので募集されるスキルは違ったりする。
だから、自分は途上国で何をしたいのかとか何ができるのかを考える必要がある。
さて、実際に派遣されるといろんな事が起きる。
任地に行ってみたら
「キミみたいな人(協力隊)は特に必要としてないよ」
と言われることもあるし、
「あれもこれもやってね。」
とパンクしてしまう人もいる。
前者はニーズ調査した時から派遣までに数年かかるので、その間に担当者が変わってしまうというような事もたまにある。
だからそういう事を言われる場合もある。
それでも必要性はあるのだから頑張って赴任してもいいし、任地を変えてもらう事もあったりする。
非常にまれだが。
後者は意を決して協力隊に参加して見たものの、頑張りすぎるパターンである。
途上国は日本とは違う。
水がなくて、毎日水くみをしないといけない地域に派遣される人もいれば、治安が悪いので夕方以降は家を出ないほうがいい地域に住む人もいる。
だから、まずは自分の心身を守る事が大切だったりする。
活動はその次だ。
だから、うまくいく人もいればうまくいかない人もいる。
派遣中は日本人がその国に数十人しかいないとか、いても1000人もいないような地域に派遣されることもあり日本人コミュニティともうまくやっていかないといけない事もある。
気が付けば大変な事ばかり書いたが、いいことも沢山ある。
まず外交官用の特別なパスポートで渡航できる。
これは記念みたいなもので、かつ、専用パスポートなのでどこにでも行けるわけではないが、それでも特別な気分になれる。
日本の国という代表としていっているのだという自覚になる。
ある程度自由なので自分の裁量でやりたいことをとことんできる。
これも、職場の環境と派遣内容によるが、派遣期間が決まっている外国人ということもありある程度やりたいことができる。
もちろんそのためには周りの人たちとのコミュニケーションは必要だが。
活動しているとき
「自分は個人事業主のようだ」
と感じることが度々あった。
JICAから派遣され、毎月の生活費は保証されてるが、何をするかは自分たちに求められている。
もちろん学校の先生で教えるカリキュラムがあって、という人もいるが、それでも
「学校で体育のイベントをしたい」
「学校の周りで勉強したがってそうな子どもに教えたい」
というような事であれば可能かもしれない。
なんでもできるとは言わないが、ある程度の事は可能である。
そして、将来、国際協力の世界で働きたい時は
「途上国での経験」や「ローカル言語が話せる」
という特典が手に入るという点だ。
国際協力の世界では中途採用が多いという話はしたが、その際に
「海外経験、途上国での経験」
を求められている事が多い。
そういうとき、2年間途上国でやってきたという協力隊経験は大きな力になる。
また実際協力隊に行っていた人と国際協力の世界では出会う事が多く、それがきっかけに仲良くなったりすることも少なくない。
そして現地語が話せるようになるので、南米スペイン語の国で暮らしていたならその後スペイン語圏での仕事は手に入れやすいし、アフリカのフランス語圏も同様である。
他にもいろんなメリットデメリットがあるが、若いうちに2年間暮らすというのは自分の人生に大きな糧になるし、いい経験になる。
制度上どうかと思う部分もあるが、行ってよかったと今でも思っている。
もし興味があれば、チャレンジしてほしい。
- 作者: 国際協力機構青年海外協力隊事務局,協力隊を育てる会,ブイエスオー
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