国際協力の世界で働きたい君へ(恋愛・結婚編)
実はこれが一番大切なんじゃないかと思う話である。
君(あなた)はこれからの人生、家族や友達とどうやって過ごしたいか、である。
長い人生、仕事は40年以上生涯に渡って続ける可能性が高い。
その時にプライベートはどうしたいのかを考えておく必要がある。
日本を拠点にして途上国に出張ベース、もしくは短期の滞在で仕事する場合は結婚するとかしないというのはあまり問題にならないだろう。
(それでもJICAなどの場合は日本各地に拠点があるので転勤になることがある。
なお、JICAの場合は配偶者について転勤する場合休職できる制度がある。)
しかし、途上国で長期的に暮らす場合はなかなか日本に帰れない。
また家族や友人を呼ぶにしても国によってはビザなどの関係で難しかったりする。
その時家族や恋人に会えなくても平気か。
友達に会えなくても平気か。
日本と違う環境で、違う問題が起きてしんどい時があっても平気なのかどうかである。
(もちろん行ってみなければ分からない事もある)
そこで今回は途上国にいた時に出会ったいろんな家族のパターンの話である。
1、独身・ずっと単身赴任
途上国で働いていると出会いが少ない。
否、日本以上に途上国では日本人同士の関係が密だが、そこから恋愛や結婚に発展するかは別である。
そこで、独身でずっと仕事している人もいる。
また結婚したものの、家庭の事情などで10年以上単身赴任している人もいる。
そういう人は当たり前だが、家に帰っても一人である。
週末は友達や一人で過ごす。
途上国に行くと、家族を大切にしている地域が多い。
何かと集まったりする事が多い。
ローカルで仕事していると、そういう場に招待される事も少なくない。
それでも平気なら別に問題ない。
また、独身の人の中には日本に彼氏彼女を残して途上国に行く人もいる。
停電がざらだったり、インターネットなどの環境がよくない事も多く、日本のようにいつでもどこでも連絡が取れるわけではない。
長い間恋人に会えなくても平気かどうかも大切なポイントである。
2、家族で赴任
家族で赴任する事もよくある。
その場合、
- 配偶者は日本人か外国人か
- 配偶者の仕事は何か
というのは大きな問題だったりする。
配偶者が外国人の場合は、配偶者の生活圏に近いところで仕事している人が多い。
南アジア出身ならその周辺で仕事する、アフリカ出身ならその地域で、という事である。家族などの手助けがしてもらいやすい、配偶者が過ごしやすいという事を考えて選ぶ事が多いためだろう。
もちろん例外もあり、太平洋の島国で出会った配偶者を連れてアジアで働くとか、お互いの出身とは全然関係ない南米で仕事するというような人も沢山いる。
この辺は家族や仕事内容による。
また、配偶者の仕事も問題になる。
配偶者が同じ国際協力の仕事をしている場合、転勤になることがある。
その場合はお互い海外に単身赴任しながら結婚生活を送るという人もいる。
また、数年単位の仕事の場合は仕事を受けたほうについていき、その間はお休み(もしくは短時間などの仕事を)して、次はもう一人の方についていくというような事をしている事もある。
同じ時期に同じ地域でしかも自分の専門の国際協力の仕事を見つけるというのは簡単ではない。
ほかにも、手に職がありどこでも働ける配偶者で現地で仕事するというのもたまに聞く。英会話教師や医師(医療従事者)などである。
女性の場合、途上国で働いているとその後のキャリアに悩む人が多い。
国際協力の仕事をしてみたものの、家族仲良く暮らす様子を見て日本で暮らそうと思う人も少なくない。
もちろん、それもアリである。
それでも昔に比べると結婚して、子どもを育てながら国際協力の仕事をしている人が増えた。
子育てしながら専門家として活躍している人がいたり、NGOの事務局でバリバリ働いている人がいたりする。
配偶者の有無や相手の職業にもよるが、キャリアを続けている人も少なくない。
国際協力の仕事は期間雇用が多いので、出産などのイベントを経て再就職するのも手だろう。
だから、女性だからという理由で国際協力の仕事を辞める必要はない。
結局、人生の中でどんな人に出会い、恋愛し、結婚するのかは分からない。
仕事も似たようなものでやってみないと分からない。
だから、将来の事を心配してしり込みするより国際協力の仕事をやってみたいなら飛び込んでみるといい。
なかなか国際協力の仕事をする場合に、恋愛や結婚の話をすることは少ないが、普通の就職や起業とは違うのでやはり考えておくポイントだろう。
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国際協力の世界で働きたい君へ(青年海外協力隊・任期中編)
前回の続きである。
私が行っていたのは2009年~2011年で、もう10年近く前の事なので変わっているところも沢山ある。
細かい制度などはよく変化があるので、興味がある人はきちんと調べてから応募してほしい。
分からない部分は国際協力推進員が各都道府県にいるのでその人に聞いてみるといい。
さて、青年海外協力隊は短期でない場合2年間の任期である。
派遣された日からその前日まで隊としてボランティアを行う。
ボランティアは学校や職業訓練校などの教育施設から、NGO、保健所、役場と多岐にわたる。
派遣される国も様々で、国が抱える問題も様々なので仕事内容もバラバラだ。
医療レベルも都会に行けば日本に近い処置が得られる国もあれば、他国に行かなければ処置できないレベルの国もある。
紛争が集結し、やっと協力隊が派遣できるようになったという地域もある。
だから、人口の多い国の医療制度であれば
「すべての子ども達が予防接種を受けられているか」を指導したり改善するのがニーズになるし、
人口がとても少ない国であれば
「保健省にも人がいないので、いろんな保健の調査を実施してほしい」というのがニーズになったりする。
なので募集されるスキルは違ったりする。
だから、自分は途上国で何をしたいのかとか何ができるのかを考える必要がある。
さて、実際に派遣されるといろんな事が起きる。
任地に行ってみたら
「キミみたいな人(協力隊)は特に必要としてないよ」
と言われることもあるし、
「あれもこれもやってね。」
とパンクしてしまう人もいる。
前者はニーズ調査した時から派遣までに数年かかるので、その間に担当者が変わってしまうというような事もたまにある。
だからそういう事を言われる場合もある。
それでも必要性はあるのだから頑張って赴任してもいいし、任地を変えてもらう事もあったりする。
非常にまれだが。
後者は意を決して協力隊に参加して見たものの、頑張りすぎるパターンである。
途上国は日本とは違う。
水がなくて、毎日水くみをしないといけない地域に派遣される人もいれば、治安が悪いので夕方以降は家を出ないほうがいい地域に住む人もいる。
だから、まずは自分の心身を守る事が大切だったりする。
活動はその次だ。
だから、うまくいく人もいればうまくいかない人もいる。
派遣中は日本人がその国に数十人しかいないとか、いても1000人もいないような地域に派遣されることもあり日本人コミュニティともうまくやっていかないといけない事もある。
気が付けば大変な事ばかり書いたが、いいことも沢山ある。
まず外交官用の特別なパスポートで渡航できる。
これは記念みたいなもので、かつ、専用パスポートなのでどこにでも行けるわけではないが、それでも特別な気分になれる。
日本の国という代表としていっているのだという自覚になる。
ある程度自由なので自分の裁量でやりたいことをとことんできる。
これも、職場の環境と派遣内容によるが、派遣期間が決まっている外国人ということもありある程度やりたいことができる。
もちろんそのためには周りの人たちとのコミュニケーションは必要だが。
活動しているとき
「自分は個人事業主のようだ」
と感じることが度々あった。
JICAから派遣され、毎月の生活費は保証されてるが、何をするかは自分たちに求められている。
もちろん学校の先生で教えるカリキュラムがあって、という人もいるが、それでも
「学校で体育のイベントをしたい」
「学校の周りで勉強したがってそうな子どもに教えたい」
というような事であれば可能かもしれない。
なんでもできるとは言わないが、ある程度の事は可能である。
そして、将来、国際協力の世界で働きたい時は
「途上国での経験」や「ローカル言語が話せる」
という特典が手に入るという点だ。
国際協力の世界では中途採用が多いという話はしたが、その際に
「海外経験、途上国での経験」
を求められている事が多い。
そういうとき、2年間途上国でやってきたという協力隊経験は大きな力になる。
また実際協力隊に行っていた人と国際協力の世界では出会う事が多く、それがきっかけに仲良くなったりすることも少なくない。
そして現地語が話せるようになるので、南米スペイン語の国で暮らしていたならその後スペイン語圏での仕事は手に入れやすいし、アフリカのフランス語圏も同様である。
他にもいろんなメリットデメリットがあるが、若いうちに2年間暮らすというのは自分の人生に大きな糧になるし、いい経験になる。
制度上どうかと思う部分もあるが、行ってよかったと今でも思っている。
もし興味があれば、チャレンジしてほしい。
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国際協力の世界で働きたい君へ(青年海外協力隊・試験編)
今日は青年海外協力隊について。
電車の中や学校の広告等で見たことがある人も沢山いるので知っている人もいるだろう。
なんだか「世界一周の船」に似てるような気もするが、全然違う。
JICAが実施しているODA草の根支援の一つである。
20歳~39歳までの青年が2年間、もしくは短期で海外ボランティアに行く制度である。
なお、40歳以上の人を対象にシニアボランティアという制度もある。
青年海外協力隊については、参加者が多いしボランティア中にブログを書いている人も沢山いるので具体的に興味があれば、
「青年海外協力隊 国の名前」
とか
「青年海外協力隊 職種の名前」
でググるといろんな人が記事が出てくるので参考にするといいと思う。
真面目に仕事内容を書いてる人もいれば、地域の紹介をしている人もいるし、愚痴を書いている人もいるのでいい参考になるだろう。
また、各都道府県や市に青年海外協力隊を担当している国際協力推進員という方がいる。
青年海外協力隊を終了して、協力隊の相談などに乗ってくれるので彼らにあって話を聞くのも一つである。
ここでは主に2年間の長期派遣の場合の派遣前の制度等について紹介する。
試験は年に2回行われており、1次試験で書類と健康審査がある。
2次試験で各職種の面談とさらに健康診断がある。
なお、2次試験は東京のみで自費で行く必要がある。
ここで合格すれば無事採用となる。
なお、希望の職種は1つしか書けない。
例えば看護師が「看護師」と「感染症対策」と「公衆衛生」に出すというような事は出来ない。
また、勤務希望地は3つしか書けないが、試験中に
「〇×でもいい?」
というような事を言われて希望しない地域に派遣が決まる事もある。
もちろん
「南の島しか行きたくない」
と言って応募する人もおり、そういう人は希望以外の地域の場合は辞退する。
職種も人気不人気や変化があり、農業や技術関係はニーズは高いが日本人側で希望する人が少ないのであまり募集がかからないなどという事もある。
インドや中国など国や地域によっては、
「自分たちの抱えている問題は自分たちで解決するよ」
という所もある。
そういう場所は受け入れる職種を「日本語教師」のみに限定していたりする。
また派遣される地域は英語とは限らないので、英語の高い能力は求められないがそれでもある程度の能力が求められる。
現地の言葉に関しては派遣前訓練という訓練所で勉強をするので必ずしも話せる必要はない。
短期派遣で応募する場合は研修等で語学を学ぶ機会がないので、あらかじめその言語で現地でやり取りできないといけない。
だから英語以外の言語の場合は長期ボランティア経験者が応募することが多い。
(もちろんその国に留学等の経験があり、自信があれば応募してかまわない)
それから、仕事を辞めて行く場合と現職参加という場合がある。
青年海外協力隊は基本的に技術や知識がないと参加できない職種が多い。
しかし、離職して参加するとその後の再就職が難しいかったりすることもあり、協力隊事務局などでは現在働いている仕事先に在籍したまま参加する人を増やそうとしている。
かつては学校の先生や大手企業が社会貢献や職員の経験を積ませる目的で、仕事先に在籍したまま2年間ボランティアに行く事があった。
最近は中小企業でもその取り組みが広がっており、派遣中は人材の補填等もあったりするので一度職場と掛け合ってみるのもいいと思う。
そうして、無事参加が決まると2カ月超の訓練がある。
これは学ぶ言語によって長野の駒ヶ根訓練所と福島の二本松訓練所に分かれており、巣百人が一緒に学ぶ。
学校の寮生活のように朝晩寝食を共にしながら、語学の勉強、国際協力の勉強、班活動、ボランティアなどをする。
なかなかハードだが「隊」である決断力や国を代表していくのだという気持ちを持たせる目的もあるのだろう。
研修の試験が終わり、合格すれば無事晴れて派遣となる。
語学や家庭・個人の問題等で途中で脱落する人もいるがたいていの人は派遣されることになる。
なお、これとは別途職種ごとの補填の研修があったりする。
農業やコンピューターで専門的な知識が必要な場合はその知識を補填したりするのである。
これらを経て無事派遣先へ派遣される。
昔は支度金として一定の準備金が出ていたが、最近はなくなっている可能性もある。
ここからがいよいよ本番になるのである。
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国際協力の世界で働きたい君へ(私の就活時代②)
今回は以前書いた私の就活、学生時代の話の続きである。
もう15年近く前の自分の就活の頃とは、随分時代が違う。
当時のアメリカの大統領はブッシュ氏だったが、今はオバマ氏の8年を通過してトランプ氏になった。
私が海外に関心を持って学んでいた頃には9・11が起きたし、そのあとアフガン戦争が起きた。
途上国へのスタディーツアーはキャンセルになったので、いろいろあって韓国に留学したのもそのころだ。
就職活動は帰国後、3年生の3月ごろから始めたのであまりよくわかっていなかったのも事実である。
就活は学校の試験とは違った。
就職活動の事がよく分かっていなかった私は完全に乗り遅れた。
私は、複数の企業に落ちた。
途上国や海外と関わりになれる国際運輸の業界に興味を持ったが縁はなかった。
なぜ、運輸だったのかと言えば、乗り物が好きだったし、モノが動く事に興味があったからだ。
後から知ったが、運輸は国際協力の分野でとても大切な仕事の一つである。
途上国は道が悪かったり、事故等が多かったりして予定の日に荷物が届かない事がざらだ。
例えば予防接種のワクチンが期日通りに来なければ赤ちゃんに必要な予防接種はできない。
食糧配給であればもっと深刻な問題になる。
だからこそ、きちんとした輸送を確保したり計画を立てる事が必要で、そういうプロフェッショナルも国際協力の世界では重要な人材である。
残念ながら縁の下の力持ちで、あまり表に出てこないが。
複数の企業からお祈り通知をもらった後、自分が改めて何をしたいのか考えた。
そして、やはり国際協力の世界で働きたいと考えた。
もう新卒で働けそうな場所はない。
であれば、社会人経験を積んでから再チャレンジしよう。
当時、
「途中でキャリアを変えるなんてことは考えないほうがいい。終身雇用が普通だよ」
というアドバイスをもらったが、ひとまずそのアドバイスは無視した。
個人的には今もこのアドバイスは無視していいと思っている。
特に売り手市場の今、入った会社が自分に合わないと思えば定年退職まで働き続ける必要はない。
そもそも学校の数より企業の数が多いのはそれだけ多様性がある証拠だ。
自分に合わない人たちと一日中一緒にいるというのはお互いストレスがたまる事だろう。
また、キャリアは2つでも3つでもあっていいと思う。
今定年を迎えている人たちが若いころは携帯なんてなかったし、パソコンのタイピングをする必要がある人はほとんどいなかった。
彼らは電卓が得意だったかもしれないし、手書きで図面を描くのが得意だったかもしれない。
しかし今はそれでは仕事にならないのでパソコンでタイピングしたりCADの技術を習得している。
そして会社の社長さんが学校の校長になるなんてこともあったりするし、地方議員であれば仕事しながら就いてる人も少なくない。
複数の技能や仕事を持つことで、今までなかった視点に気が付く事ができる。
これは仮に国際協力の仕事につかなくてもいい経験になる。
だからこそ、途中でキャリアを変えることはあっていいと考えている。
話がそれた。
実績を積むための仕事として何の仕事がいいか調べた時に、たまたま銀行員から国際協力の世界に行った人の記事を3つ見つけた。
みな、銀行員からスタートし、大学院などを経て国際協力の世界で活躍していた。
確かにお金は何につけ必要なものである。
学生時代、某国際機関の日本支部でボランティアをしていたが、運営には組織の運営費が必要な事、活動費も自分たちで賄わなければならない事などを聞いて、莫大なお金はどこからやってくるのだろう。どう経営しているのだろう。と、お金の流れに興味があった。
たまたま地域の銀行で新入社員を再募集していたので受けてみたところ合格した。
他の企業も内定をもらったが、将来の事を考えると、自分にとって銀行で働くのが将来国際協力の世界で役に立つと考え銀行員になることにした。
国際協力の世界で働きたい君へ(国連職員編)
昨日、おとといと仕事先をいろいろ書いてきたが、肝心な事を忘れていた。
「国連職員」と「国連ボランティア」である。
(昨日の記事はこちら)
なる方法はいくつかある。
- 直接応募する
- JPO派遣制度を利用する
- JICAなどに入職してから出向する
直接応募する、は以下のリンクから調べていくと仕事を見つけることができる。
自分が働きたい組織、内容を調べると見つかるであろう。
国連職員と言っても職種は様々で、WHOの医師やUNHCRの現地コーディネーター等々いろんな仕事がある。
コンピューター関係の仕事も最近は多い。
仕事先は基本的に海外である。
WHOが神戸に事務所を持っているので、たまに大学院生のインターンを募集していたりするがマレである。
なお、途上国でもないWHOがなぜ日本に事務所を持つのかといえば、高齢化の進んでいる事を研究したりしているからである。
国連は単に途上国の人たちのためだけに働いているのではないのである。
だからこそ、自分は国連で何をしたいのかを考える必要がある。
JPO派遣制度というのは政府の負担で2年間国際機関で職員として勤務しながらステップアップをする制度である。
国連職員というのはランクがあり、日本の一般企業の昇進システムに似ていると思えば分かりやすいかもしれない。
自分の技術や知識、語学能力などに自信があれば最初から直接応募するといい。
しかし、世界中で働きたい人がたくさんいる国連で、知りあいも働いた経験もなく一定のポストに就くのは容易ではない。
中途採用でもなく、新卒で入って係長や課長ポストに就けないのに似ている。
そこで外務省が国連職員になるためのステップアップとしてJPO派遣制度というのをやっている。
一般的に新卒では国連職員にはなれないので外務省が派遣制度を用意し、国連職員になるための橋渡しをしてくれるのである。
詳細はリンク先から調べてほしいが、これは日本が国連に出している拠出金の割に職員が少ないというのに起因している。
後述するが、日本人はあまり国連職員になりたがらないのである。
そして、最後の出向は人事異動によって数年出向するのである。
組織の人事異動に近いので働きたいと思っていても働けるとは限らない。
希望を出して、かなえば晴れて働けるという感じである。
また、国連ボランティアにも触れておこうと思う。
国連ボランティアという制度がある。
2年間の有給ボランティアでこれも一部費用を政府が負担していたりする。
JPO派遣制度に近く、組織によっては次へのステップアップとして有効なところもある。
青年海外協力隊にも似ているが、仕事内容がより具体的で青年海外協力隊では対応しないような地域での難民支援などもあったりする。
国連ボランティアの応募資格と応募方法 | 国連ボランティア計画(UNV)
国連職員になる方法を書いてきたが、日本人には狭き門だったりする。
理由は主に3つある。
1つは語学力である。
国連はネイティブかかなり流ちょうなレベルで英語+もう一つの言語を話せる必要がある。
もう一つの言語というのはフランス語、スペイン語、中国語、アラビア語、ロシア語である。
英語フランス語はアフリカの諸国でも話されている言語である。
アラビア語は中東からイスラム教を信仰している人たちが話している。
2つ目の言語は英語ほど話せなくてもいいが、それでもある程度話せる必要がある。
それぞれ日本人にはなじみのない言語で、かつ2か国語となると結構厳しいのが現状である。
2つ目に必要なのが、修士以上の大学院卒業資格である。
国連で現地に行って仕事する場合、各国の要人や役人、医師などみんな高学歴の人たちと仕事をする事がおおい。
彼らと対等に話をする場合、最低でも修士レベルの資格が必要なければ相手にしてもらえないのである。
また、仕事する上でも豊富な知識が必要である事が多い。
そのため、国連だけでなく国際協力で働いている人は働きながら大学院へ行くなどしている人は少なくない。
最後に終身雇用ではないという事である。
国連職員は終身雇用制度はない。
昔はあったが、今はほとんどないというのが正しい。
長くても5年程度の期間職員である。
JPO制度や国連ボランティアをはじめ2~3年ごとに試験を繰り返し、仕事を見つける必要がある。
自分に必要な仕事がなくなる可能性もある。
そのような状況では結婚して、子どもを産み育てるのは容易ではないと考える人がおおいのだと思う。
と、暗い事ばかり書いてしまったが、途中で書いたように日本は国連への拠出金の割に働いている職員が少ないので政府もできるだけ多くの人に働いてほしいと思っている。
また、国連職員は世界規模でいろんな事を考えられるという醍醐味がある。
もし興味があればぜひ挑戦してみてほしい。
国際協力の世界で働きたい君へ(起業編)
昨日、国際協力分野で就活して勤めるには複数の場所と方法があると紹介した。
昨日の記事は以下。
だが、もし、自分がやりたいことがあるならば起業するのも手である。
特に、学生時代であれば、インターンとしてどこかに 勤めてもいいし、サークルのような形で始めて団体も作り運営するというような事もできる。
実際、途上国に学校を作る、何か支援するという場合。
10万円あれば多くの事ができる。
現地の生活費も国によってバラバラだが、1週間の食費なら500円も必要ないというところも多い。
そういうところなら、1か月分50人の給食費を賄うみたいなことは可能かもしれない。
また、地域等によるが100万単位のお金があれば学校だって建てられる。
日本で暮らしていれば、何とか集めようと思えば集められない金額ではないだろう。
自分がどういう理由で、どうして途上国とやりとりしたいのか。
何故そこにお金が必要なのか。
説得できれば寄付してくれる人はいる。
特に、近年はクラウドファンディングが登場し、国際協力のジャンル強いサイトもある。
例えばReadyfor。
ここを見れば、途上国の教育支援、職業訓練、その他いろいろな支援をしたいという事でいろんな団体が募集を行っている。
もちろんReadyfor以外にも沢山のサイトでクラウドファンディングが行われており自分に合うサイトを探す必要がある。
もしかしたら途上国で貧困層向けにモノを売りたいというような事であれば、別のサイトが向いている可能性もあるだろう。
ほんの10年前までは
「寄付してください」
と言って回るか、自分で働いてお金を集めて支援に回すくらいしか方法がなかったが、今はインターネット上で
「これこれを実現したいのでよろしくお願いします。」
といえば、不特定多数の人から支援を受けることが可能になった。
もちろんそのための理由や裏付け、人を納得させるだけの技術は必要だが、自分で実現させようと思えばすぐできる環境がある。
だから、学生で何かしたいと思えば行動してみるのも手である。
なお、おせっかい婆として一つだけ言うならば、学校などのハコものを作った場合、大変なのはその後の運営で、いい先生にずっと働き続けてもらうための給与や支援などをずっとし続ける、もしくは、何らかの方法を使って自主的に運営してもらえる策を考えて実行する必要があるため、よくよく考えてやった方がいい。
また、社会起業家として途上国の人を雇い(それも彼らが生活していけるような適正価格で)、日本や先進国で販売するというような事をする事も方法としてある。
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モノづくりの場合、ある程度最初に資金力が必要であるが、これもクラウドファンディングや各種助成金、起業家制度を使えば不可能ではない。
私は難民支援をしているNGO方に学生時代お会いして、その事業を学生時代に始めたと聞いて、
「いったいどこからそんな支援をするお金が出てくるんですか?」
と聞いたところ
「調べれば、支援をしてもらえる場所、方法はあるんだよね」
と言われた。
当時はさっぱりだったが、今なら本当に沢山の方法があるなとよく分かる。
もし、社会起業家になりたければ、支援したいことがあれば、お金は後からついてくるのである。
何かの専門家として、どこかの団体で働きたいとか、そういうわけでなければ、自分で自分の仕事を作るのも手だと思う。
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国際協力の世界で働きたい君へ(仕事先紹介編)
昨日から続けて国際協力で働きたい君へという事で文章を書いている。
昨日の記事はこちら。
自分で読み返してみると、
「国際協力で働きたいな」
とふと思った時に、そもそもどんな仕事があるのかすら知らないところからスタートするだろうと思い、今回はそれについて書こうと思う。
「国際協力の世界で働きたい」
と思った場合、だいたい以下のどれかを選ぶことになる。
短期的に支援をしてみたい場合は、国際緊急援助隊などがある。
別に医療従事者でなくても仕事はあるので興味があれば調べてみるといい。
もし、インターンやボランティアでいいならば大体どこの機関も募集している。
ただ、給与や保証はその団体によってバラバラなのできちんと調べてから応募したほうがいい。
給料が出てある程度長期的にボランティアに参加したいなら青年海外協力隊がおススメである。
住居や生活費はお金が出るし、その他積立金などもあるので帰国後次のステップに進む時にも有利だからだ。
ただ、積立金は以前より減少傾向にあるし、活動内容も地域や内容によって差が大きいので注意する必要がある。
しかしボランティアは就職ではない。
あくまでも期間が決まっている有給職員なので、就職とすれば上の5つを選ぶことになるだろう。
公務員やJICAは一般的な公務員試験等と変わらないので、それで受験したらよい。
大きなお金を扱いたい、町や国単位でモノを動かして広く社会に貢献したいという場合はいい就職先になるだろう。
ただ、大きな組織で場所によっては1000人以上の人が働いている。
その中で国際協力を仕事にしたいと思ってもなかなか希望の部署につけるとは限らない。そこがデメリットと言える。
コンサルタントというのは、JICAや外務省などがODA案件を受注し実施する会社である。
会社によって、建築関係が得意とか保健分野が得意などがある。
もちろん複数の分野で得意という会社もある。
会社が受注したものを担当者が数週間~数年単位で現地に行き仕事をする。
魅力は現地の方と一緒になって仕事できる事だと思う。
一方、ここは即戦力を求めている事が多い。
小人数でチームを組み、ちゃんと実施できてるかなどを調べたりするので経験者でないと厳しいのである。
だから新卒で募集していることは少ない。
興味があればインターンなどは募集しているかもしれないので、参加してみるといいかもしれない。
NGOは世界的に大きなところから、数人規模の小さいところまでいろいろある。
JICAの案件やWHOなどの世界的な案件を受注して仕事している団体もあるし、独自の活動をせっせとしている団体がある。
日本で一般的な終身雇用は少ない事が多い。
案件単位で数年の雇用という事もよくある。
また、経験者募集が一般的で新卒を募集していない事が普通である。
というのも、団体規模が大きくなくて経営的に雇う余裕がないからだ。
それでもNGOで働く一番の魅力は担当する地域の人たちとやり取りする割合が一番高い事だ。
地域の子ども、女性、大人、いろんな人とその地域をよくするために仕事できる。
上記のような不安定な身分という事はありますが、やりがいを感じて働いている人は沢山いる。
そして、社会起業家と言われる人がしている会社や一般法人の社会貢献部門であれば普通に就職活動をすることになる。
ただ、必ずしも自分の希望通りの部署に入るとは限らない。
組織が大きければ大きいほど希望通りでない部署で働く事もよくある。企業内における社会貢献部門というのはあまり規模が大きくない事も多い。
何故なら企業は儲ける事が主の目的であり、その利益に応じて従業員などに還元するのですが、社会貢献というのはそのあとという位置づけの事が多いからだ。
そして社会貢献部門というのは広報の一環として行われるので、自社の事をよく知ってから配置される可能性も高い。
ただ、一般企業なので給与やその他社会保障等はしっかりしている。
海外に行ってバリバリ働くには自信がない、家族も心配だし日本で働きたい、一度一般企業で働いてみたい、という人はとりあえず就職という事で選択するといいのではないだろうか。
社会起業家の企業はその会社自体が社会貢献度が高いですが、まだまだ数が少ないのが実態だ。
社会貢献度の高い企業という概念でいえば昔から存在していましたが、近年言われるような社会起業というのはまだ出てきて10年ほどしか経たない。
なので、規模も小さく数人~数十人程度しか従業員いない。
新卒で入社するには狭き門かもしれませんが、興味があればたたいてみるのはアリだと思う。
日本で国際協力の仕事をしたい場合はこのような中から選ぶ事が多いのではないだろうか。